企業に倒産リスクをもたらす可能性のあるものとは?

企業を経営し続けるということは簡単なことではありません。経済産業省のホームページに記載されている「中小企業白書」によると、起業してから10年後の生存率は約26%です。実に、7割以上の会社は起業後10年以内に倒産してしまうことが分かります。

倒産の理由で多いのは、金銭関係です。しかしながら、近年はネットが発達し、真偽不明の情報が大量に行き交うようになってしまった弊害からか、嘘や誤情報がきっかけで倒産に追い込まれるというケースも多くなっています。ネットの情報は、1度アップロードされてしまうと簡単には取り消せず、引用されることによって古い情報が、あたかも最新情報であるかの如く扱われてしまうことも多々あります。また、人間に共通する傾向として、ポジティブな情報よりもネガティブな情報の方を信じてしまいがちです。

さらに今日は国民の7割以上がスマートフォンを所持し、なんらかのSNSを使っています。SNSは気軽に使える一方、誤情報の訂正がしづらいという欠点があります。そのため、SNSユーザーの勘違いにより誤情報やデマが広まり、電話やメールの対応で本来の業務ができず、倒産に追い込まれることも珍しくありません。

現在の情報化社会において、情報による倒産を防ぐためには、どのような情報にリスクがあるのかを知り、対策を練ることが重要です。以下は大きな倒産リスクになりえる例です。経営者も従業員も理解して注意しましょう。

生理的に嫌悪感をもたらすもの

一時期「バカッター」という言葉が流行したことを覚えていますか?飲食店やコンビニエンスストアなどで働く、比較的若い世代のアルバイト従業員が不適切な行為をし、その様子を映した動画や写真をSNS、特にTwitterにアップロードしたことによる炎上騒ぎのことです。「バイトテロ」と呼ばれることもあります。

その「バカッター」及び「バイトテロ」で、なぜ執拗に従業員や雇い主である企業がバッシングを受けたかというと、人の健康に密接に関係する食品関係で不適切なことをした、という生理的な嫌悪感が主であると考えられます。また、元来、日本人は食べ物を大切にする意識の強い民族です。食べ物を粗末にすることに対する忌避意識も関係しているでしょう。

このような炎上騒ぎを起こさないために必要なのは、従業員への教育だけではありません。「バカッター」や「バイトテロ」は、単なる従業員の悪質な悪ふざけではなく、低劣な労働環境であることが原因のひとつではないかと指摘されています。そのため、給与面や休暇などの条件だけではなく、職場環境についても気を配るようにしましょう。不満や改善点を伝えられる面談の場を設けるのも重要です。

反社会的勢力との関係

こちらは、全ての業種に関係のある事柄です。フィクションの世界では、特に暴力団は必要悪として描かれることもある反社会的勢力ですが、実際はさまざまな違法行為で一般人に迷惑をかけるだけの存在です。「暴力団対策法(暴対法)」をはじめ、警察による取り締まりが厳しくなっています。ちなみに、反社会的勢力とは暴力団のみを指すものではありません。極端な政治思想により、暴力を伴う過激な行為をする集団なども反社会的勢力として定義されます。

健全な企業であれば、反社会的勢力との関係は発覚した時点でイメージに大きな影響を及ぼします。ベストはそもそも関わらないことですが、反社会的勢力側も巧妙に偽装しているため、見極めることは困難です。もし、取引先などが反社会的勢力かもしれない、という疑いを持ったら、まずは契約書や規約などに「反社会的勢力排除条項」を盛り込むようにしましょう。

他にも、取引先が本当に信頼できるかどうか、データベースを利用することをおすすめします。リスクモンスターという反社会的勢力対策のための調査をしてくれる業者がおすすめです。こちらでは、約120語の、反社会的勢力に関連するキーワードを組み合わせて地方紙含む47紙を対象に検索をします。取りこぼしのない調査により、取引を継続するかなどの検討をする材料となります。

すぐに弁護士に相談し、どのように行動すれば良いか聞きましょう。急に取引を止めたり、取引先や取引先の従業員に「反社会的勢力なのか」と聞いたりするのは絶対に止めましょう。場合によっては警察の介入が必要となります。証拠になりそうなものは保全し、安全に関係を断てるようにしましょう。